TOKYO TODAY

東京でのお気に入り

伊勢藤

東京の文化財ともいうべき居酒屋が神楽坂にあります。それがこの「伊勢藤」

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とにかくいろいろ決まり事が多いお店です。まずそれらを列記すると、酒は「白鷹」のみ。焼酎、ワインはもちろんビールもない。席に着くと「お燗にしますか?」とだけ問われて、肴は一汁三菜が勝手に出てくる。店の中央には囲炉裏があって、ご主人がお燗番をされている。この燗が絶妙なのです。たまに「冷や」を頼む人がいるけど、やっぱり燗をおすすめしたい。じゃないとここに来る意味がないと思う。

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それで、これが大事なのですが、基本的に「私語禁止」です。みんな黙って飲んでいる。もちろん小声で話す分には問題ないのだけれど、ちょっと声が大きくなるとご主人から注意されます。「なんで?」と憤慨する人は、行かないほうがいいです。でも、この静寂の空間で、燗酒を飲み、一汁三菜を肴に、時代が刻まれた机とか壁とかを見ながら飲むのが、なんとも心地よいのです。他では決して味わえない妙味なのです。これが心地よさそうだなと思う人だけ行ってください。

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この先の店内を撮影する気は到底ないので外観だけ。そういえばクーラーもない。その代わり団扇を貸してくれる。それで扇ぎながら真夏でも燗酒を飲むのです。そういう店なのです。一人で行く勇気はなかなか湧かないでしょうが、興味あって愛好者がいればぜひ行ってみてください。唯一無二の貴重性がここにあります。あ、値段は決して高くない。お酒二合と勝手に出てくる一汁三菜だけなら三千円もしません。